益子を訪れたのは7~8年ぶりくらいでしょうか。
ノーザン関東の春。
陶器市の時期に行ったのは、実ははじめて。
当時、日本の工芸品についてつれづれなるがままに調べていて、
辿りついた「東京に一番近い陶器の里」が益子でした。
その益子が、3.11の地震で被災したと聞き。
事の次第を知ったのは、益子の被災状況を伝える
Facebookページでした。
http://www.facebook.com/Rebuild.Mashiko
被災の生々しい写真。おびただしい量の割れた陶器。
そして・・・・
町の象徴というべき、登り窯40基のほとんどが崩壊。
修復できる人が町に2人しかいないということで、
復旧の目処が立たないという。
(2011年5月現在)
工芸品をめぐる旅への情熱は失っていましたが、
その状況でも開催される陶器市に、行かねば、と思い立ち、
GW前にめいいっぱい任せられたお仕事を必死で片付け、
ぶん!と行ってまいりました。
町は被災地の面影を残さず、整然と片づけられ、
歩道には人みっしり。
若い人がとても多い。
ちょうどTwitterで糸井重里さんが益子陶器市のことを
拡散ツイートされていたのを見ており、
有志の方々による益子陶器市tweet 作戦も
盛り上がりを見せていたので、
私の中ではテンション上がってましたが、
ほんとに、奥のほうまでたくさんいらしていてびっくりしました。
(大型バスの観光は震災後キャンセルが続出だったそうですが、
どうも今回は個人でいらっしゃる方が多かった模様)
いくつかのギャラリーを経て路地裏テントのアーティストブースから
かまぐれの丘に登ると
なんと。偶然にも、4月、代々木公園で行われた
アースデイにて、益子の作家さんのブースで書いた
私の字を見つける。
(「益子の器で毎日ごはん食べています」)
これは、リビルド益子・カケラプロジェクトといって
益子の若手アーティスト主導で考えられた地元へのエールの一環。
「旅するカケラ」と名付けられた陶器のカケラは
いろんな土地に行って、メッセージを書かれ、
また益子に帰ってきます。
見たことのあるものが
作家さんのブースの店頭に飾られていたので、
思わず、「これ、私が書いたメッセージです!」と言ったら
その作家さんが旅するカケラを企画した方でした。
(庄司千晶さん。 http://ameblo.jp/studioglide/ )
人がたくさん来てよかったですね、
むしろ東京より皆さん生き生きされてる感じがします、と言ったら
「ずっと土を触っているからだと思うんですが、
陶器を作る土って火山灰からできていますし、
これだけ大地に恵みをもらっていて、
いいことばかりもらえるなんて思ってないです」と。
それでも海が好き、と言う漁師さんのように。
庄司さんの作品。
さて、さらに上の遺跡広場に登って
WEBで盛り上げてくれていた益子陶器市ツイート作戦の
バッジ引き渡し所に行くと。
バッジがめっちゃ手作りで製造されていた。
作っていたのは陶芸家の中園晋作さん。
http://nakazono.jimdo.com/
中園さんは神戸出身で、阪神大震災の被災者でもありました。
まだ若い男性ですから、中学の頃くらいでしょうか・・・。
神戸の復興を経て、また、という。
中の絵を描いたのも中園さん。
なんでも作らはるんですね・・・。
いやいや、ここはアーティストの町。
創るのが生業の人たち。
たぶん・・・。
3月の震災のあと、すぐに陶器市の時期だったのが
皆さんの気持ちを奮い立たせたんじゃないかなぁ。
そんな気がします。
具体的に手を動かすのが仕事で、仕事が癒しでしょうから。
今回は開催できない、と言われていたそうで、
でも、年にたった2回の陶器市。
ふだんもくもくと自分と向き合いながら制作に励んでいるでしょうに、
外から来てくれるお客さんと触れあえる貴重な機会を
失いたくない、ってきっときっと思われたでしょう。
目標が具体的にあり、強い思いを乗せて遂行し、
そして「結果」を出す。
それが、慰めを超えた、誇りになるんじゃないかなぁ。
なにか、慰撫するような、支援したい気持ちで訪れて、
ちがう、強い人たちに、私はもてなしてもらったんだ、と思いました。
商業地を離れて森に向かうほう。美しい春の色の風景。
先月から友人と、復興支援ネットワークを立ち上げ、
(「あした花咲くネット」 http://www.ashita-net.org/ )
運営委員としてあれこれやっていますが、
実際に「被災地」と言われる場所を訪れ、
その土地によって違う思いがあり、ニーズがあり、
十派ひとからげに考えるのはナンセンスだーと思いました。
益子は傷ついたけど元気。
これからも、きっと失ったもの以上の何かを生み出していくのだと
信じています。
最後に買った作品群。
庄司千晶さん
すべて我が家で「用の美」デビューしております
私のチョイスは『ハーブ&ドロシー』とはからずも同じ。
・自分の収入で買える値段であること
・1DKの部屋に収まるサイズであること
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